議論漬け。

Kiritsisさんが理研にいらっしゃっていて、朝から存分に議論させていただく。やはりやっている物理が非常に近いので、問題意識や物理的興味が非常に近く、何でもすぐに議論が発展するのでこの上なく楽しい。しかし面白いのは、これだけ近い物理をやっているにもかかわらず、問題の見方がいろいろと違っていて、それで新しい発見がいくつもあることだ。もちろんいろいろと教えてもらうこともあるし、逆にこちらが教えることもあるようで、まあ議論ちゅうのはそうでないと面白くないというのは当たり前なんだけど。休憩なしでそのままセミナーに突入した感じになって、くたくたになってしまった。もちろん、彼はセミナーをしているので彼のほうがよっぽど疲れているはずなのだが、それにしてもエネルギッシュなこと。自分の疑問もいくつか解消する方向も見えた面白い議論だったので、理研に来ていただいて大変よかった。今日のセミナーは思ったとおり(?)長めになり、1時半から5時半まで。今年度のセミナーはいきなりずいぶん長めのセミナーとなったので、今年度はどうなることやら・・・しかし楽しかった。ギリシャ、行きますよぉ。
しばらく日記をつけていなかったので振り返ってみる。昨日はNastase氏を誘ってIPMUへ。大栗さんのインフォーマルセミナーがあるのと、珍しく一日に3つもセミナーがあるので、IPMUはそんなに近くないけれどもそれを補って余りあるくらいの一日になりそうに思えて、Nastase氏を誘ってみた。行きと帰りは彼と議論していた時間が長かったせいか、あまり距離が長いとは思わなかった。逆にいろいろと議論できて楽しかったくらいだ。大栗さんの話はいつもどおり非常に面白く、ぐるっと大きな輪を描いていろんな物理を楽しみつつ元に戻ってきたという感じの大きな話。なぜ元に戻ってこれたのかは僕には見当もつかなかった。多分CYのことをよく知っている人にはもう少し大きいPerspectiveが見えているのだろう。僕には個々の事象しかわからなかったけれど、少なくとも、AlgaがBrane tilingだということは新たに知った面白いことだった。Cosmologyでよく言われるAdS/CFTはやはり我々の知っているdS/CFTとは違うということも、二つ目のセミナーで改めて思い知る。ははは。三つ目のKerr/CFTの話は、いろんなところでいろんな人に聞いた話なので耳学問がまた少し増えた。いろいろと議論できて有意義な一日。
そういやその前の日々は学会やったなあ。毎日いろんな会場を行ったり来たりしていたので、どっと疲れが出てしまった。トークの数が増えて仕方が無いのか、いろんな聞きたい話が会場が違って時間がかぶっているので、大変困る。ビルがお互いに隣だということが唯一の助け。ハドロンの会場と宇宙物理、そして素粒子を行き来する。いくつかの話でノートをとったけれど、今になって振り返ってそのノートをまとめてみると、自分の研究に役立ちそうなこと、そしてこれから少し勉強してみたいことのリストはハドロンでいっぱいになっている。これは、結局のところ、今までQCDはわかっているつもりだったのがまだまだ知らない面白い現象がたくさんあるということの現われともいえるし、自分が面白いと思うことが今までの研究に影響されて少しシフトしたとも言えるかも。三つほど、文献を探して勉強しなければと思うハドロンの物理があった。そのうち二つはすぐに計算が出来るとすぐにわかったが、調べてみると、案の定友人が論文を書いている。さすが。ていうか、やられていないほうが不思議か。もう一つのほうは、少し勉強してみないと、その重要性が明らかでなくて(というか自分がわかっていないので)やってみよう。最後の一つは、去年から頭の中にあったことだけど、もう少しきちんと問題に挙げてみよう。と思っていたら、今日Kiritsisさんと話していたらそれは大事だということになった。
ハドロン以外でまさに面白いと思ったトークは二つあって(もちろんテクニカルに面白いと思ったトークはたくさんあったがそれ以外のという意味で)、一つは菅本さんの。これは度肝を抜かれた。すげぇぇ、という感じ。すげぇ、と声が出てしまった。もう一つは、駒宮さんのレビュー講演。最初のスライドで、素粒子がたこ焼き器にはまっている絵が書かれていて、こりゃただ事ではないトークが始まりそうや、と思ったが、案の定、えらいおもろいトークやった。しかし、会場が大きすぎて、せっかくのギャグが聴衆に伝わらない・・・・僕は腹を抱えて声を殺して笑ってました、ハイ。いやーおもろかった。
来週はイラン。