8月。

研究室の新スペースの整備などに闘志を燃やしていたので、気がついてみるとブログにはしばらく仁科センターのことしか書いていなかった。で、このブログは研究日記であるはず(少なくとも10年前にスタートしたときにはそうだったはず)なので、8月の研究の状態を記録しておく。記録メモほどつまらないブログは無いというが、それでも、これは自分のためなので、ご容赦いただきたい。

そもそも8月の前半は二日に一回新幹線に乗っているというまずい状態。これでは、いかに新幹線がN70系でインターネットも使い放題、制動性が高くてゆれが少ない、臭いも無い、と言っても、研究の質が落ちるのは確実。しかし、「質」にも色々あるだろう。新幹線に乗っていたのはひとえに基研の研究会に少しでも参加するためで、そこにいらっしゃる人たちと少しでも議論をするためだったのだから、そういう意味での研究の刺激としての質は換え難いものがある。部屋にじっと座って計算する時間、部屋をうろうろして考える時間、が重要なのは言うまでもないが、その状態に到達するには、こうやって刺激が必要なのも言うまでもない。刺激というのは人によって様々で、僕は僕なりの物理があると思っているのだから、僕なりの物理と波長が合い刺激しあう人と話すのが最も効果的なのはトリビアルに分かることだ。

7月末にヨーロッパに行ったときに、Bloisでまたお会いしたChung-Iや、Torentoでお会いしたMcLerran氏とは非常に波長が合ったので、来日されるこの機会はまたとない議論の機会、そう思って新幹線に乗ったが、果たして、予想通りだった。短い期間だったが良い議論をし、それを基にぼんやりと考えていると、自分の肥やしになった。肥やし、というのは、直接それが植物になり芽を出すものではないが、芽があった時にそれをぐんぐん伸ばす働きがある、という意味で。

8月初めに研究室の方が勉強会を開いてくださり、それがきっかけでその後議論が続いている。毎回、ああこの方針やったらあかんやん、と思って出席すると、想像していない方向に議論が進む。やはり、バックグランドの知識が違う人間が集まって、一つの対象を眺め始めると、面白い融合が起こる。研究室で、まさにそういうことが起こって欲しかった。これから何度か議論を重ねて、さらに新しい面白いことがいえるといいのだけれど。で、今日も議論。楽しい。