機中にて。

Bostonへ行く飛行機の中でこれを書いている。MITは、二年ぶりの訪問になる。こないだ行ったような気もするし、ずいぶん前のような気もする。二年前の訪問は数ヶ月の長期滞在だったから、MITでものんびりとさせてもらった。いろいろと議論も出来たし、人とも知り合えた。今回はわずか10日間の外国生活だから、その間に濃い毎日を送ることになりそうだ。セミナーは、MITとBrown大学、そしてPerimeter Instituteの三つが、10日間の間に入っている。まあ、全部同じ話をするのだから、大変ということも無いけれど、でも移動が多いので体を壊さないように気をつけないといけない。しかし、いろんな人に会うことになりそうだから、これまたとても楽しみだ。Watiはこないだ駒場に来てくれたときにいろいろと議論が出来て、その続きをやってみることになっている。けど、Pionの話にどっぷりとこないだまで浸かっていたので、ぜんぜんそっちのほうは進んでいない。この一週間で、彼と何か良い議論をしたいけれど、そうするためには少し明日にでも手を動かさないといけない。もう遅いかも・・・・

Brownは、Jevickiに誘ってもらったんだけど、前にMITを訪問していたときに呼んでもらったのに当日高熱を出してセミナーをキャンセルさせてもらうしかなかったという苦い思い出がある。自分の話をキャンセルしてもらったのは後にも先にもあれだけだった。(あ、去年のQFT研究会で、親戚のお葬式で寺嶋さんにポスターを代わってもらったのを除くと・・・だけど。)今回は熱を出さずにきちんと訪問して話をしたい。当たり前だけど。

Perimeterは、Alexがいるのでまた会えるのがとても楽しみだ。彼もAdS/QCD関係をずっとやっているから、彼の専門的意見も聞きたい。結局のところ、サンタバーバラ時代に一番親しかったのは彼だったにもかかわらず、彼と研究の方向性がずいぶん違っていたために、一緒に論文を書いたりはせずに終わってしまった。それと比べれば、今はずいぶん研究の興味が近いように思う。嬉しいことだ。ま、旧友に会うのは、何をおいても楽しみだ。今はPerimeterにはAmiもいるはずだし。今回の論文で詳しく使ったconfigurationはMyersのものなんだけど、彼がsabbaticalでPerimeterにいないのは残念。

久しぶりに飛行機でこうやってのんびりとすごしているので、日記もいろいろと書くことが出来る。おとといは、衛藤君の送別会。彼が駒場に来てもう一年。早い。衛藤君と三つ論文を書けたことはとても嬉しいことだ。この一年は、三輪君との論文も含めて、localな人たちと議論をしつこく出来たということが僕にとっては良いことかもしれない。結構、そばにいる人とだけ研究をするようなたちではないので・・・

月曜から水曜はKEKの研究会に行ってきた。ハドロン物理の人たちとの交流が大変面白い。いろいろと動機の違いなども感じつつ、異分野交流を楽しむ。「本当の物理」を弦理論が記述する時代になってきたと思うと、本当に嬉しい。駒場原子核理論の人たちともいろいろと話が出来る、それだけでも嬉しい。いろいろとholographic QCD関係で思いついているネタはあるのだが、それがどのくらいnontrivialなのかはやっぱり勉強不足のためにまったく不明で、それで原子核の人に話を聞く。それは面白そうですね、といってもらえると、やる気が出る。ある一つのネタについて、計算してみることになった。これ、どう発展するのか、楽しみ。家にあった「大学院原子核物理」という教科書を読む。まさかこんな教科書を詳しく読むことになるとは、ついこないだまで思いもよらなかった。楽しい。

来学期の学生基礎実験の予定が決まる。それにしても、来学期が終われば、理研へ移るので、学生実験も来学期が最後ということになる。6年間やってきたけど、得るところがいろいろとあった。学生時代実験嫌い(不得手)だった僕が実験を毎週やるとは思っても見なかったけど、物理学の基礎の基礎をこうして学べたことに感謝。

10月からは理研の研究員。自分としてはステップアップだと思っている。しかし、その一方で、これが本当の意味のステップアップかどうかは、理研に移ってからのがんばり次第というのも事実。今回のMIT訪問も、将来につながるいい訪問にしたいと思っている。