物理学会。

いろいろと楽しい話を聞く。今回の学会ほど様々なセッションを見て回ったことは無いように思う。はじめてやわ。素粒子現象論、宇宙物理、原子核理論、原子核実験、そして素粒子formal、の5つをぐるぐると回る。どれもかなり自分の研究にレレバントで、楽しむ。質問もたくさんする。聴きたい講演がたくさんかぶっているので、どれを聞きに行くか決めるのに難儀した。それにしても、これだけいろいろなセッションへ行って、しかも自分の研究に近いので質問も出来る、こんな嬉しいことは無いのではないかと思う。学会はこういう楽しみ方があるのか、と再認識した。ずっと、こういう楽しみ方が許される学会であってほしいものである。

宇宙のセッションにしても、原子核理論にしても、現象論にしても、地元の素粒子formalセッションにしても、聞きたい質問が山ほどある。けれどもちろん好き勝手なことを聞いても良い場所ではないので、遠慮することも多いけど、でも僕は結構質問していたほうなように思う。学会ではなぜこんなに質問が出ないのだろう。みんな気を使って遠慮しすぎやわ。もっといろいろ質問が出て座長が困るくらいに会場が盛り上がってほしい。

それで、自分の発表は、というと、少しがっかり。まあまあうまくしゃべったつもりではいたけれど、質問が少なかった。面白くない物理ではないとは思っているんだけど。ふぅ。どこが悪かったんやろか・・・それとも、こういうもんなんやろか・・・わからん。それにしても、学会発表が無事終わって、アメリカ出張+学会、という長い出張が終わり、ようやく駒場に戻ってきて、ほっとしている。

学会三日目の素粒子論懇談会で、素粒子メダル奨励賞の授賞式があった。とてもとても緊張して、そして嬉しかった。手が震えてしまった。額は家に飾っておくことにした。

昨日は誕生日だった。いろいろと頭をめぐる。大学院に進学して素粒子をやり始めて12年。たまたまその節目の日に、東大出版会を通じて哲学の小林先生のインタビューを受ける。そういや、大学院に進学したころ、哲学の本を読み漁っていたっけ。小林先生の質問が、やけに自分のその当時の気持ちと重なって、偉く感傷的になる。当時は「野望ノート」というのを持っていて、物理の野望を書き込んでいた。大学ノートの表紙にでかでかとマジックで太く「野望ノート」と書いてあった、というまさにそのままの野望ノート。あまり毎日書くものではなく、数ヶ月間が開いたりして続いたり続かなかったりだったが、それでも、野望を書いてはいたという事実は、今から思うと大事なことだった気がする。もう一回、野望ノートを書き始めてみようかな。