新学期、若干あわただしい日々。

水曜日はIHESの山口君のセミナー。非常に分かりやすく、その後もたくさん教えてもらって、なんと言うか、得した気分?である。直接それを何年もやっている人に、馬鹿な質問が出来るということろがセミナースピーカーを迎えることの最大のポイントだけれど、山口君にいろいろと教えてもらえて、頭の中でばらばらだったことが少し有機的な感じでつながった気がした。気がしただけかもしれないけれど、そういうのを頭にためておかないと、と思う。うだうだと山口君に質問していたら、辻君が「それがJevicki-Yoneyaですね」と言って、急に頭の中が晴れた気がした。そや、そやわ。山口君が帰りの駅に向かうところまでついていって質問させてもらう。ありがたかった。

昨日木曜日は、ここに長期滞在されているJen-Chi LeeさんとYi Yangさんのセミナー。これは、基本的なところをセミナーの後に質問しようと思っていたら、セミナー後のお茶会は、Jen-Chiのえらく面白い四方山話(?)ばかりで盛り上がってしまって、結局質問出来ずじまい・・・まあ彼らはこれからも長い期間いるので今度聞いてみよう。しかし、面白い人やわ。

風間さんに、酒井杉本模型とAdS/QCDについて質問を受け、議論してもらう。僕もAdS/QCDを文献紹介でやった去年の今頃は、かなり幅広い動機と問題意識ではじめたはずだったのだが、結局一つの問題にはまってしまって研究モードに入ると、その大きな問題意識はもちろん背景の動機となり、実際の目の前の問題に集中してしまう。こういうとき、研究が一段落した後で、もしくは研究の中途でも、はたと立ち止まって大きな視点と自分の方向性を確認する(というか思い出す)というのはかなり重要なわけだが、それを定期的に行うということはなかなか難しい。これは僕の一般の研究態度にもいえることで、自分で注意しているのだけれど、こうやって風間さんに質問してもらって、広い立場からいろいろと聞いてもらえると、しっかりと見つめなおす機会にもなり、ありがたかった。ありがたいといっているだけではなくて、きちんとそれを日常にも反映させるべきだろう。

って、書くのはたやすいけど、科研費の書類などで手一杯の日などは、そんなことを振り返る余裕は、こうやって日記を書きながら少し現実逃避している間だけなわけ。これじゃいかんのだけど、ま、書類を書くという時間はこういう年度初めには必ず誰にもあるわけで。

平山と三輪君とやっている話のレフェリーレポートがやってくる。レフェリーが分かっていない部分も多々見受けられるが、それでもかなりきっちりと読んでいただいて、刺激という点で嬉しいレポート。三輪君と話しているうち、あまり考えていなかった視点が浮上する。重要やわ。それにしても、先週大栗さんにこの論文のアイデアを説明したときに、「それは美しい」と一言おっしゃったのがとても嬉しかったのを思い出す。物理屋にとって美しいといってもらえることほど嬉しいことは無い。自分にとって面白い論理は他の人にも美しいと感じてもらえる、というがわかる体験はなかなか無いので、ちょっと書き留めておきたかった。いや、もちろん、どの研究にも、美しいところもあれば、美しくないところもあるわけだけど・・・・

いろいろなところからセミナーなどの声をかけてもらって、ありがたい。駒場原子核理論研究室で、原子核の人向けに少しはなしをさせてもらえることに。来月や再来月は毎週どこかで話すなんてことになりそうだ。嬉しい悲鳴。果たして、弦理論屋以外の方に楽しんでもらえる話が出来るだろうか。

計算結果が思ったとおりにならない。思ったとおりというか、期待、というだけなんやけど。まあ、そうならなくても良いという論理もあるし、計算結果としてそうなってしまっているんやから、そりゃそうなんですなあ、というだけかもしれない。むぅ。やっぱしもうちょっときちんと全体のモジュライ空間を調べないと、definiteなことは言えないのかねぇ。数値計算の初期値の理由付けをもう少し論理立てないといけない。