セミナーが・・・・

5月は7つもトークをすることになってしまった。なんてこった。それで、準備に追われている。もちろん、全部全く違う内容で話をするわけではないので、7つと言っても実質はそうではないけれど、それにしても。いろんな人の前で、どんな風に話をしようかと考えているだけでも熱が入るが、果たして追いつくんだろうか。7つのうち3つは、駒場原子核研究室に呼んでいただいて、そこで黒板を使って講義形式で話をすることになっている。講義形式というのはやっぱり発表形態の理想で、話をし終わった後に手がチョークで真っ白になっていることがとても嬉しいわけだけど、それには、言葉をじっくり選んで板書しつつ、その論理関係を口で補うという、セミナーとはかなり違った能力を要求されると思う。授業を普段持っていらっしゃる先生方はそれに習熟していて、問題ないのだろうけれど、僕は駒場で学生基礎実験を担当していて、講義はやっていない。今まで集中講義は何度かさせてもらったことがあるけれど、やっぱり今回はまた、板書を楽しむいい機会。理想のセミナーは、時間内にエッセンスを黒板で伝えること、だけど、それがいつ出来るようになるやら。もちろん、黒板だけで面白さが伝わるようないい研究をするのが第一歩というのは重々承知しています・・・

駒場原子核に加えて、他のセミナーは、時間順で、中央大学千葉大学茨城大学、本郷初期宇宙研究会、という感じで毎週。そんで、その次の週が駒場の文献照会に当たっている。無理でしょ・・・・しかし、話に興味を持っていただけるというのは、とてもとてもありがたいことだ。昨日夕食の時にボーっと眺めていたテレビで、タカアンドトシがせんべいを一週間で1000枚食べるというのをやっていて、そんで最後に感極まって「テレビに出ているのが嬉しい・・」と泣き出すシーンがあった。うーん、なんか、そんな感じに似ていなくも無いな、いや全然違うかな、とか思ったりして。少なくとも、セミナーに呼んでいただいて話を聞いてもらい、議論をしてもらえるのは、何よりも嬉しく、楽しい。

昨日家に帰ると、雑誌『科学』の五月号が二冊届いていた。僕の書評が載っている。自分の書いたことが載るというのは、不思議な感覚というしかない。論文を書くとか言うのとはまったく別で、自分のつたない日本語の文章でしかも研究とは程遠い感想文が雑誌に載っているというのは、半分恐ろしく、半分奇妙で。

文献紹介用に、興味のあった論文を打ち出してみる。それがたまたま原子核の話に基礎を置いているということで、藤井さんに少し話を聞いてみる。こういうときに、すぐにちょっと聞くことが出来るような環境というのは大変ありがたい。さて、文献紹介の内容をそろそろ決めないと、まずいなぁ。そりゃ、タキオンの話とか、AdS/QCDの話とか、研究で自分がはまった分野の話をするほうがたやすいけれど、それをすると自分にとっての文献紹介の意味があんまり無いので、チョイスの折り合いが難しい。面白そうな論文はいくつかあっても、それがみなにとって面白いかどうかということもサブの判断基準に入れておかねばなるまい。去年は確かこの時期にAdS/QCDの論文を文献紹介して、それがそのまま自身の研究につながってきている。あれは非常に良かったと思う。そこまで直接的ではなくても、なんと言うか間接的にでも、頭の中にしっかり物理が残ってそれが将来の研究につながるような、そういう文献・・・

今週は阿部さんのセミナー、中山君のセミナー。阿部さんの話は、数学的にはなるほどという感じだったけれど、どういう物理を示しているのかがわからなかった。fuzzy S4というものの定義?が様々あるようで、困っている。中山君の話は大変明快で面白かった。そんなindexがあるのね。finite N AdS/CFTに対して、少しサポートになっている、かも、というところが面白い。