中央大学でセミナー。

稲見さんと久しぶりにお会いする。久しぶりと言っても、Piljinが駒場に来たときに一緒に居酒屋に行って以来なので、そんなに久しぶりでもないかもしれない。二時間くらい、主にレビュー中心のセミナーをさせてもらい、genericな意見を聞けて良かったように思う。自分の研究の部分はあまり話せなかったが、それでも、ホログラフィックQCDの面白さは伝わったのではないかな。そう思いたい。

4月下旬から、ほとんどずっとセミナーの準備をしているのだけれど、準備の段階では、動機付けについてあれやこれやと悩んでしまって、いろいろ文献を見ているうち、結局準備がはかどらない、ということが多い。それでもゆっくりと進んでいくのだけれど。今日のセミナーでは、弦理論の輪廻転生みたいなトラペを一枚、昨日の夜に布団の中でぼんやり考えていたものを付け加えた。そこに稲見さんがはまったらしく、いろいろ質問されて、うーん、誰に聞いたとでもないけれど、いろんなところでセミナーをしてその地元の人と議論しているうち、そういう感じの描像が頭の中に出来ていったということなので、そう答えておいた。そういう考え方は大事だと思うし、そこからどういう示唆が得られるのかは、ゆっくり考えてみないといけない。思いつきで足したトラペが、将来に思わぬ展開を生むこともあるので、そういうのを大事にしたいと感じる。弦理論の実用的意義、というのは、いろんなところでしゃべってきたけれど、それが自分の中の考え方の一つとして、なんとなく定着している感じがしている。これは、いわゆる、言質というやつなんだろうか。

明日は駒場原子核理論グループで黒板セミナー(三回のうち第一回)。黒板、うまく書けるやろか・・・・

先週いっぱいは大阪に帰っていた。思えば、ポスドクになって以来、大阪に一週間も帰っているのは初めてのことだった。リラックスするということが、自分の生活や精神状態の上でこんなに重要であるとは・・・そういうことを改めて認識させられた一週間だった。帰省している間、一日だけ基研と京大物理教室に顔を出す。平山と三輪君との話について、寺嶋さんといろいろと議論させてもらう。畑さんのところに顔を出したら、吉岡に遭遇。少し、懐かしい、10年前の、お互いの記憶についてやりとり。物理教室も、改修されたら昔の面影がなくなってしまうかもしれない。ひょっとしたら今回が最後の、古い研究室を眺める機会だったかもしれない。そう思うと、なんだか離れ辛くて、物理教室の建物の前で、立ち止まって古い建物をぼんやりと眺め入ってしまった。