マドリッド研究会。

日記を書くのをサボってしまっては日記の意味が無い。しかし日記を書いている時間があったら他にやることがあるやろ、というのもあるわけで、それでとうとう今日になってしまった。今日は東工大セミナーの日。トラペも、月曜と火曜の突貫工事で何とか出来上がった。いつもなら一週間前にはトラペを書いているのだが、このところそういう余裕が無い。マドリッドの後でやろうと漠然と考えていたのが良くなかったのかもしれない。今日のセミナーが終われば、今月は後は、月末にICEPPで話をするだけ。あ、来月のQFT研究会のポスターやらんと・・・その前に、ポスターに書くネタをきちんと仕上げないと・・・

って、マドリッドのことを書こうと思ってたんやった。全体的な感想としては、やっぱり来てよかったという言葉に尽きる。たくさんの世界中の友達に会えて議論が出来たこと、そして、楽しいトークを聞けたということ。いつもと同じ感想やけど、それを感じに来て、研究の糧に出来る、それだけでもう満足。AllenやJan、平山に会えたのは良かった。Allenや平山とは、いろんなトークの感想を話したり。Janとは毎年Stringsで会うことが習慣という感じだけど、今回は、彼が実はSeiberg dualityを最近やっているということを話し出したので、ずいぶんと議論が出来た。彼のやっているbrane configurationは意外と実用的かもしれない。我々のQCD stringをbraneで実現する上で、実は記述がHanany-Wittenよりも簡単になっているかもしれない。共通の話題で議論できたのは幸いだったけれど、「最近の若い人」はSeiberg dualityと言っても通じないんだよねぇ、という笑い話も。Paulにも久しぶりに会って、議論する。彼の最近やっている話は、僕がJohnとやっていたimaginary sourceそのものだったので、そこでの問題点を説明すると、どうやらずいぶん的を得ていたようだった。重力に応用することが出来れば本当に面白いんだけど、彼のアプローチなら特殊なisometryに関してうまくいくかもしれない。Feng-LiやDongsuと議論・食事したり、そうそう日本人が今回はたくさん来ていた感じがする。いろんな人と話をしたり、少しばかりの観光を一緒にしたり。

面白いトークには丸印をつけるということをいつもやっているんだけど、今回はたしか7つほど丸がついた。まあ僕は何でも面白いと言う人間のようなので、面白いと判断するレベルはその程度なのかもしれないけれど、いろんな意味で面白いトークに丸がついている。家に帰ってから良く調べないといけない話とか、全然知らない方向性なので新鮮だった話とか、やっぱりこの人はすごいと思った話とか、ストリングがこういう方向にもっと進むと楽しいだろうなという話とか、そういう丸印。

研究会主催のexcursionで、Segoviaに行くバスに乗ると、隣の席が空いているよ、とSchwarz先生が。恐れ多くも座らせてもらう。実は2002年のケンブリッジのstrings研究会で、Garyに誘われてあるdinnerでSchwarz先生の隣に座ったことがあるのだけれど、そのときは英語がちんぷんかんぷんで、政治などの話題に一切着いていけず、ぽつーんとすわっていた恥ずかしい記憶がある。もう思い出すのも忌まわしい大失態という感触しかない。ところが今回は、Schwarz先生と一対一だったためか、いろいろと話が弾む。新しいテキストの話や、フィレンツェの研究会の話など、興味深い話を聞く。もちろん、2002年に隣に座って黙りこくっていましたなんて口が裂けてもいえない。楽しかった。

マドリッドはスリが横行していたり、研究会参加者の実際の被害を聞いたりで、かなりナーバスな滞在だったけど、終わってみれば、良い思い出ばかりである。おいしいコーヒー、鉄道博物館(最終日はここに行った後にゲルニカを見に行ったらもう閉まっていた・・)、トレドやセゴビア、カリフォルニアを思い起こす澄み渡った空。

駒場に帰ってみると、学生実験もあと少しでおしまい。6年間やってきて、実験は得意ではなかったにしても、それなりの感慨がある。新しい住処も決まった。駒場を去るということのイメージは沸かないけど・・・