グルーボール論文出ました。

引越しでばたばたしていて日記が滞ってしまった。今週月曜日、グルーボールの崩壊の記述の論文を出す。[0709.2208] Glueball Decay in Holographic QCDというタイトルの示すとおり、これは、トップダウンの酒井杉本模型でホログラフィックQCDでグルーボールが如何に崩壊するかを記述した論文。どうぞ見てやってください。実際のハドロンのスペクトルの中で、どれが本当にグルーボールかは意見が分かれている。この論文では、計算結果とf0(1500)というハドロンが性質が非常に良く合うことが示されて、これが最も軽いスカラーグルーボールであるという主張を純理論的にサポート。はっきり言って、QCDの強結合計算でグルーボールの崩壊を記述できたのは初めてのはず。なので、自信作。

Chung-IとはブラウンにJevickiさんに呼んでもらったときに知り合って、それから寺嶋さんと共同研究が始まった。初めは、結構簡単に話が進むかと思いきや、やっぱりどんな研究もそうはいかへんね・・・・結局、グルーボールの実験の論文をも読み漁る羽目になり、人生で初めてhep-exとか読んでいた日々も。おかげで、PDGのメソンのテーブルをそらで言えるようになったよ。これには自分でも驚き。またまた、寺嶋さんとは毎日電話で濃い議論をさせてもらいました。それにしても、弦理論がこんな風に実際の現象の予言をするほどになるなんて、それだけでもうびっくりやし、僕が大学院生で弦を勉強し始めたころから見れば、えらいことになってますなぁ、としか言えないくらいすごい。そんな研究状況に自分でもこうやって参加できているのが嬉しい。

いろんな方に、この論文の話をいろいろと積極的にやってみる。面白いといってくださる方もいて、それはそれは嬉しい。グルーボールに直接関わってきた人の感想をぜひ聞きたい。そういう思いもあって、今日、hep-phとnucl-thに論文をcross-listさせてもらった。これで、そちらのコミュニティーの人々にも見てもらえるといいんやけど。

今は学会期間中やから、これを読んでいる人も少ないかもしれない。研究室は静かで、その中で、来週の基研の国際研究会のトラペを書いている。一応第一稿は書きあがったけど、まだまだ30ページもあるので、なんとかしないといけない。今週と来週は、自宅の引越しと研究室の引越しで、ろくに研究が出来ていない。まあ、先週は理研でザモロジコフさんの集中講義、今週は本郷原子核でSang-Jin Sinの集中講義に少し出席していたので、それもあったかも。どちらも面白い集中講義で、知らないことをいろいろと教わり、面白かった。本郷では真君や初田さん、Sang-Jinにいろいろと議論してもらう。

研究室も引越し準備がまだ中途で、隣にはダンボールの山がうずたかく積みあがっている。これ、ほんまに引越しできるんかいな。家に帰ったら、またダンボールの山。数えてみれば、結婚してから9回目の引越し。外国を去年転々としたのも含めて、やけど、それにしてもこの引越しの回数の多さときたら。ま、慣れているとはいえ、疲れるのはいつも一緒。引越しが終わったら体調を崩したことが何度かあったので(そういえばサンタバーバラの時は高熱を出した・・)、今度は気をつけないといかん。まあそういうことも考えて、というか仕方なく、来週の基研の研究会は、トークする前後の日しか滞在しないことになって、少し申し訳ない。精一杯、トラペを改良してよい話が出来るよう工夫するのみだ。ラファエルにまた会えるのを楽しみにしている。

新しい住処は、本当に住みやすい。今まで住んでいた職員宿舎は古いから仕方ないと思っていたけど、やっぱし、古いとかなり生活を無理していたのだということが、新しいところに移ると良くわかる。そやかて、水が出えへんかったもんね・・・・。新しいところはまだダンボールの山ばかりやけど、家に帰るのが楽しい。新しい家具を買うことを考えたりして、それで、転居に関するいろんな面倒な手続きにうーんとなるのが精神的にキャンセルされている。

今週は、理研雇用のための健康診断とか、トラペ書いたり、ダンボールに本をつめたり、家ではダンボールから本を出したり、で、終了。引越しの時に論文が出たなんてことなかったんちゃうかな。そんで、もう、来週一週間で、駒場もおしまい。それやのに、来週のうち月曜日は祝日、火曜と水曜は基研やから、実質駒場はもう二日しかない。さびしい。ほんま、今月末で、新しい人生の基点に差し掛かっているのを肌で感じる。