駒場物性セミナー。

物性理論の研究室に招いていただいて話をするのは初めてだったのだが、なじみある駒場の皆様の顔ぶれを想像すると、緊張するというよりも、物性理論の方々と久しぶりにお会いしてしかも物理の話を聞いてもらえる、という感じで、えらくリラックスして臨んだセミナーだった。弦理論の考え方を説明していると、どうしても言葉が多すぎてしまい、時間をどんどん超過してしまう。おかげで最後の宇宙ひものところは詳しく話せなかったが、そのほうが結果的には良かったかもしれない。それにしても、たくさん質問も頂き、セミナーのあとには楽しくディスカッションもして、嬉しい限りだった。弦理論が物性理論の人たちにも近くなってきていて、似たモティベーションで話が出来るということ自体に興奮を覚えた。それもこれも、Dブレーンの発展によるのであるから、不思議だというほか無い。なぜって、僕がDブレーンを勉強し始めたきっかけは偶然もずいぶんあったと思うし、それからもう13年、原子核理論や物性理論とまさかこんな形でつながってくるとは全く想像していなかったから。しかも、頭の上では物性とこういう風につながっているのかと二年以上も理解し、その面白さを堪能していたはずなのに、実際に物性理論の方々と面と向かってそのことを議論すると、その面白いこと面白いこと。素粒子論屋とはもちろん観点や価値観も全然違うけれど、そういう垣根を越えて、物理現象という共通のところからたくさん話が出来、そしてそこからそれぞれの分野の価値観が見えてくる、これは、あたかも、外国に行って、物理という共通語を使って話していくうちにその国の文化に触れることが出来る、ということと同じ楽しさだと発見した。物理をやっていて本当に良かったと思った。しかし、駒場でずっと近くにいたのに、なんでもっと相互作用しなかったのかということが分からない。近すぎるとその重要性を認識しない、つまり、京都に住んでいたら銀閣寺をわざわざ見に行ったりしない、というのと同じだったのかもしれない。そりゃあかんやないか。

ところで、どうやらガンダムはtopological defectをエネルギー源として動いているらしい。こないだのガリレオのループ量子重力の件といい、なんとまあ。