「超弦理論と宇宙」研究会、ICEPPシンポジウム。

先週今週と立て続けに二つ研究会で過ごす。今、ICEPP(素粒子国際センター)シンポジウムの帰りの電車の中、特急に揺られている。寝不足で酔いそう・・・あずさの振り子はきつい。むむ、この二つの研究会は、なかなか充実していたが、ほんま、体力使った・・・。

ICEPPシンポジウムでは、前に「SUSY 2010's」研究会などでお世話になった駒宮先生に誘っていただいて、Dブレーンについての特別講義を5時間半。白馬なんて、スキーをほとんどやったことの無い僕には縁遠いところだったから、誘ってもらわなかったら一生来なかったような場所。行きの電車で車窓を眺めていたら、見る見るうちに雪が深くなっていって、えらいところにきてしもたわ、と思った。けれど、スキーを楽しめる場所での研究交流、おもしろいやん!知らんかったわー。ニセコの研究会も、スキーを知らないという理由だけで、今まで参加したことなかったし。講義は出来るだけ式をなくして、概念の説明をゆっくりやったつもり。Dブレーンの実体感が少しわいたというコメントをいただいたので、その意味では成功したのかもしれない。けれど、頭の上にはてなマークが浮かんでいるのがありありと分かる方もいらっしゃって、僕の説明の言葉が通じていなかったのだと分かる。素粒子実験の方々とは普段使っている言葉も違うので、なるべく言葉を選んで話した積もりだったけど・・・

僕の本を読んであんなに詳細なノートを作ってくださった先生がいらっしゃって、感激する。本を書くというのはこういうことなんだと、改めて強く感じる。夜の懇親会はとても楽しかった。怖がっていたスキーも出来た。スキーで降りる山道の途中、ふとスキーを止めると、誰もいない白い山の中に一人で立っていた。東京では人ごみにぎゅうぎゅう押されて、自分の場所を確保するのに必死な日々。それが、美しい白馬の山々の、無限遠までうねうねと続いていそうな尾根の連なりを前にしてひとりスキー下手な無力な人間がポツンと。その日常とのギャップがすごすぎて、昔アメリカでZionやSanta Rosa Islandに行った時のことを思い出した。そういうことがあると、当時の生活を思い出したり、それが契機になって、物理のことを考えるのも初心に戻ることが出来て、とても良い。

昨日夜三時ごろまで飲んでいたので眠い。けどたしか、先週、尾道の「超弦理論と宇宙」では、朝五時まで議論(?)をやっていたような記憶が・・・えらい研究会でした。初日は三時まで起きていて、寝不足がえらくたまってしまい、体力を消耗した。でも朝五時まで話していてようやくいろいろ分かったこともある。宇宙論の方々に常識の違いを教えてもらって、素粒子論だけをやっている時の見聞の狭さを思い知る。研究会の講演は、疋田君の話にはインスピレーションをもらったり、いろいろ自分なりに楽しめたので良かった。スケジュールの合間の短い休憩時間に、尾道を散策する。尾道に来たのはもう10年ぶりくらいかもしれない。昔通ったはずの道を訪ね、TOMがもうなくなっていたりとか残念なことやらで、時間の流れを感じてしまった。非常に懐かしかった。初めて尾道を従兄弟と訪ねた時は、あれから15年たって、こうしてやってきている自分はもちろん想像できなかった。