ジュネーブ空港にて。

昨日までは一週間、理研セミナーシリーズをオーガナイズしていた。メールも読めないくらい忙しかったけれど、ほんまに楽しかった!セミナーに参加してくださった皆様、ありがとうございました。特に招待講演者の皆様、非常に濃い一週間を共有してくださって、お礼の言葉も見つかりません。自由な自由なセミナーの雰囲気が作れたこと、そして各自の問題意識をお互いに共有できたこと、様々な方向性とその間の関係を議論できたこと、連続セミナーシリーズの当初の目標は達成できたことを素直に嬉しく思う。月曜日、初めに時間を少しもらうことにして、自分の問題意識の一部をいろいろと皆さんに聞いてもらった。自分の中の潜在的なもんだいい意識が具現化する時というのは、実はなかなか意識的にやらないと無いものなので、この機会に皆さんにも少し語っていただいた。非常に興味深かった。特に招待講演者の方々は、この濃い一週間でくたびれはったのではと思う。ゆっくり休んで、そんでまた、これからも議論してください。

今はイタリアのMoriond研究会に呼ばれて行く道中、ジュネーブ空港でタクシーを待っている間にこれを書いている。シャルル・ド・ゴール空港でtransitに3時間もあったので、そこでうまい具合にトラペの大まかなドラフトを書き上げることが出来た。今回のスライドは、先月理研の英語プレゼンセミナーで習得した技術を使って書いてみている。話す相手が半分は素粒子実験の人たちなので、プレゼンセミナーで習得した技術はこういう場合に役に立つに違いないと思う。

二月の下旬にあったこの英語プレゼンセミナーでは、いつもやっている自分流のセミナーのトラペの作り方が根本から間違っていることを認識させられ、二日間の練習は確かに今後のセミナー発表に役に立ちそうだ。聞いている人の立場で考えるということを徹底する、という、一見非常に当たり前のことを、実はほとんどの人が完全に忘れている。僕もその例に漏れず。聴いている人が面白く感じるように、という意識は常に持って書いてはいたが、それは多分半分は関西人根性の名残であるだけで、本当に聞く人の立場になって、しかも伝えたいことを伝える、というのは、トラペを書き始める前に十分考えなくてはいけないことだと学んだ。それを考える時間の方が実は多いはずで、それが決まれば、あとはトラペを書くのは簡単になる。それが、プレゼンセミナーでヘイクス先生に教えてもらったこと。もちろん、数学に近い我々の分野で、彼の手法で全部やってしまうのはいけない。数式が物語る何かを聴衆は明らかに期待しているからだ。しかし今回の発表は、実験の人がたくさん聞いているので、ヘイクス流にやってみたらいいかもしれない。

そう思って、京成線からパリ行きの飛行機の中で、ずっとプロットを考えていた。ヘイクスノートのP-C-Sタイプの発表にすると良いことがぼんやり分かってきて、インパクトからキーワードの選定、プロットの作成、sub-pointのリストアップ、と、ヘイクス先生の教えの通りやってみる。二日間練習した甲斐があってか、FocusedではなくP-C-Sを選ぶと決めてからは結構すいすいと進む。

飛行機でノートにこれらのプロットを書いていると、横に座っていたフランス人が、「あなたは物理を考えているときに、日本語で考えているんですか、それとも英語ですか」といきなり聞いてきた。どうやら、僕のノートに英語と日本語と数式が入り混じっていてそれを横目で彼が見ていたからだと気づいた。それで、うーんと悩んで、「日本語でも英語でもない、イメージです」と答えた。後で考えると、アダマールの本の影響を受けてそれを無意識に持ってきていたのかもしれない。かっこつけすぎた。

なにしか、3年前にきたときとは何も変わっていないジュネーブの空港で、一応powerpointが完成。出来上がったトラペを見ると、うむ、ちょっと枚数が多い気もするが、何となく面白いトラペに見えてきた。あとは、大声でホテルの部屋で練習するだけ。声が小さくては全然意味が無いということもヘイクス先生の教え。守らんと。

さ、ぼつぼつ、予約していた迎えのシャトル便サービスが来るはずやねんけど、ドライバーの人に会えるかどうか不安・・・YY先生によると、Moriond研究会はなかなか歴史ある研究会らしい。(聞いたこと無かったけど・・・)まあ行ってすぐ発表やから(って既に一日遅刻しているけど)、緊張するまもなく、トークしてのんびり出来そう。トークが終わったら誰かと議論するかな。