京大セミナ。

金森君の研究会に参加したり、懇意にしている方の家に家族で呼んでいただいたりして楽しく週末を過ごした。が、京大セミナのトラペが全然できていなかったので、火曜日はずいぶんあせる。できていなかったというのは語弊があって、実は完成していたのだけれど、全然満足のゆくスライドではなかったのだ。3月の論文の話と9月の論文の話を半分半分という感じのスライドができていた。やっぱり両方の話題を話したいという欲求で、そんなのが完成したのは、一週間前だったのだけれど、どうもまったく満足できない。質問がたくさん出れば時間をオーバーするのは目に見えていたし、それに、おなじホログラフィックQCDの話とはいえ、違う観点からの話を混ぜると聞いている人も若干混乱するだろうことも予想されるからだった。

本当は9月の論文のホログラフィック原子核をゆっくり話したいのだけれど、如何せんその後の計算がスムーズに行っていなくて、それで、話せる内容が限られてしまうから、それで一時間じっくり話すのは無理があるかとも思っていた。そこで、セミナー前日の火曜日、もうスライドは一応できているやつがあるんやから、今日一日計算して、何もうまくいかんかったらあきらめて今のスライドで発表しようと腹をくくった。それで、止まっていた計算を始める。

そしたら、実は一つの簡単なアイデアで、計算が進むことがわかった。特殊な例に話を変えてみたのが良かったようで、それで、意外と計算が進む。土岐さんがいらっしゃって話をしたり、戴君と議論をしたりしていたわりには、少し計算が進んだ。しかし本質的な答までは到達していなかった。そのまま水曜日の朝に新幹線に乗ったわけだが、そこでも諦めが悪く、一時間ほど最後の計算をしていた。そうしたら意外とうまく行って、それを発表に含めて、ホログラフィック原子核で発表をまとめることに決めた。新幹線の中で黙々とスライドを書くが、京都に着くまでにスライドが出来上がるわけが無かった。

バスで京大農学部前に着き、そのまま基研へまず行って、旧サロンでスライド書きを続行、その後新サロンで続行。セミナーをする理学部に顔を出すと人に会って楽しくなってそれでスライドを書けなくなってしまいそうな気がして、セミナー時間の20分前まで基研で粘ることにした。そうすると、奇跡的にその時間にスライドが書きあがった。

多分こういう経験はこの分野の人なら誰でも経験していることだが、僕はあまり経験が無い。僕はずいぶん前から準備するほうなのだ。けれど、なんともこの前のIPMUの時といい、最近ちょっとその傾向が崩れ、良くない。まったくハラハラして、議論したいことをセミナー前に前もって頭の中で整理しておく余裕が無いというのは、いけない。

それはともかく、セミナーは結局書き足したところで全て時間を使ってしまい、自分としては満足のいく形になった。質問をたくさんしてもらい、ずいぶん勉強になった。セミナーの夜は韓国料理屋に連れて行ってもらい、とても楽しかった。サンライズ。昨日は机をもらって計算したり、議論をしたり、夜は楽しく又飲んだり。

昨日の朝、6時半に目が覚めたので、哲学の道から真如堂吉田神社を歩く。美しい。観光客が押し寄せる前の早朝の静けさと、大文字山から上る朝日、それに映える真如堂の塔を堪能して、そして、吉田神社裏にある小さいな稲荷に入ろうとしたとき、稲荷を守る狐ににらまれて、そら恐ろしい感じがした。石の狐がこっちに飛び掛ってくるような気がした。京都の神社は恐ろしい。

吉田キャンパスに入ってみると、ぽっかりA号館に穴が開いていることに非常に驚く。門を入ったところがまるで別の空間になっていた。思えばここに来たのは10年以上ぶり。もう彦市像もなく、門の左手から聞こえていたピアノの音も無く、ハイマートの発声練習の声もない。吉田キャンパスのところどころだけに昔の面影が残る。図書館がそのまま残っているのを見て、少し、ホッとした。