APCTP2009へ。

高速バスは韓国北部の山間部を貫く道路を爆走している。どのくらい走ったんだろうか、見当もつかない。いつの間にか眠ってしまった。Hwenggyeというところでバスを降りなければいけないらしいが、どんなところなのか、そしてそもそもそれはどういう風に発音するのかも、見当もつかない。しかもバスの終点でもないし、そこが研究会のvenueでもないので、ことさら悪い。まあ、何とかなるやろね。

何とかなるやろね、と思っているのは、そのそもこのバスにソウルのバスターミナルで乗り換えるときもかなりnontrivialだったけど、何とかなった、からだった。仁川空港からのバスがついたところは、ターミナルという感じの場所ではなかった。ここで違うバスの券を買って乗り換えなければいけない。バスターミナルは実際は鉄道の向こう側の、しかもビルの中にあった。わかるわけないやんけ。

しかしそのビルに入ってみると、みるみる10年前のことを思い出した。初めて韓国に来たとき。確かにここから、バスに乗った。初めて、教科書で勉強した歴史をもつ韓国に来て、この国をよく見ておかなければならないとひしひしと感じていた。無理をして韓国のホストの方に頼み込んで、どうやったらその歴史的な場所にいけるか調べてもらい、外国人がほとんど来ない韓国の田舎に一人で行ってみた。そのとき、確かにこのバスターミナルから小さなバスに乗った。

そんなことを来る前に思い出していればよかったのだ(それならバスターミナルを探してうろうろせずに済んだ)が、記憶なんてものはそんなにすぐに取り出せない。そして、視覚的な印象がきっかけでいきなりみるみる思い出してしまうところが、不思議だ。初めての外国だったので、相当頭の中に強い記憶が眠っているんだろう。

今となってはもう韓国は外国とは思えないくらいに親しみを感じるようにはなってきたけれど、やっぱりなじみの無い田舎に来ると不安になる。Hwenggyeとかいうところでバスを降りると、そこからホテルへのシャトルバスがあるという。わかるやろか・・・唯一の頼りは、研究会ホームページにおかれていた、ハングルで書かれた行き先案内のPDF。これを地元の人に見せれば、きっと教えてくれるだろう。少なくともこのPDFは、既にさっきバスの券を買うときに役に立った。

このAPCTP2009研究会のプログラムを昨日初めて見てみたら、なんと、僕のtalkの直前がPiljin Yiで、しかもタイトルが''holographic deuteron and NN potential''となっている。あらら、またPiljinたちとかぶっとるんかいな。それで非常に困っているが、彼らの論文は出ていないので内容がタイトルからしか想像できない。仕方ないのでほんまにがちがちにかぶってしまったときのために、少しスライドを飛行機の中で改造した。この改造版を使わなくて済むことを願う。