論文二つ出す。

先週火曜日、二つ論文を出した。一つ目は、タキオン凝縮の重力双対と言う論文で、Garyと平野さんとの共著論文。実はこのプロジェクトは4年前にケンブリッジに居たころに始まったプロジェクトで、長い間、非常にゆっくりとしか進んでおらず、結局のところ、最もシンプルなところだけ書いて出そうということにしたわけで、その結果、4ページという非常に短いものになってしまった。計算は、おそらくゲージ重力対応を一度計算したことがある人なら、頭の中だけで追うことが出来る。か、簡単すぎる・・・しかし、面白いでしょう。

二つ目は、酒井杉本模型を使って、バリオンの質量がクォーク質量にどう依存するかを計算したもの。平山と、ホンさんとの共同研究。これは、上記の論文ほど長くはかかってはいないけれど、それでも長くかかった。なかなか難しい面はあるけれど、核子の質量の依存性については、格子QCDの計算と美しく一致しているので、嬉しい。こうしてリアルな計算(実際に観測可能な量との対比が計算できるようなもの)を手でやると、場の理論というものが如何にうまく出来ているか、いやむしろ、ゲージ重力対応がいかに正しいか、を否応無く肌で感じさせられる。不思議と言うのを超えて、美しい。

論文が同じ日に出ることになったのは全くの偶然で、それは不思議なくらいだ。プロジェクトに費やされている時間も全然違うし、内容も違う。どちらもいろいろと思い入れがあって、嬉しい。長い議論も楽しんだし、試行錯誤の歴史もたくさん思い出される。

再来週、阪大での集中講義に備えて講義ノート作りにいそしんでいると、ふと、夏の学校の講義の方も気になってきた。ポスターを見ると、なんと、三者共通講義に益川さんの名前が?!しかも講義タイトルは「夏の学校と私」?!こりゃ楽しみになってきました。益川さんを講師に招待するという夏の学校の若手の心意気に脱帽。こんな調子でどんどん続いて欲しいもんやわ。

東大生産研の一般公開に行って来た。実際に動くメカを見るのが楽しいこと楽しいこと。風速40メートルとか、直径三メートルの大風洞、いろんなロボット。こんな研究、ほんま楽しそうやわ。もちろん専門家やないから、全然裏の苦労は分からないわけやけど、説明を聞いていると、いかにも「この研究にはまってます」的なオーラがにじみ出ている、MIT度が高い人たちばかりで(注:「MIT度」にはきちんと定義がある)、そういう人たちの悦に入った表情を見ているだけで、満足してしまった。

今日は土曜日。娘と遊んだり、いろいろな書類を書いたりという仕事の合間に、また数値計算の続きをやってみる。いろいろやってみると、やっぱり面白い。こんなん発見したら楽しいやろうな、と思う(と言うのも、人の計算の追試のレベルなんやわ、まだ)。なんとかきちんとした計算も走るように乗せないと。まだうまく走らん・・・

外国出張の日にちを決めつつ。