Heavy Ion Cafe。

初めて、HICに参加してきた。歴史的な話から最先端の話まで、多重発生の流体記述の話をまとまって聞く機会はなかなか無いので、専門家ではない人間にとってはありがたかった。専門的なところは全然分からなかったが、自分なりに、何が重要で何が問題であるのかは漠然と理解できた気がする。驚いたことは、諸所でゲージ重力対応の話が顔を出しているということで、僕が予想していたよりそれがずっと多かった。強結合でQCDの解析というと、やはりそういうことになってしまわざるを得ないのだろうか、という、再認識が、こんな形でやってくるとは今日は予想していなかった。流体の導出という問題において、ホログラフィーに対してのalternativeとしてどんな可能性があるかという話も少し聞けて、耳学問が増えた。素人にもよく分かる歴史の話は、なかなか聞けないものだったので、参加してよかったように思う。

三週間Mantonさんと議論漬けで、今日Mantonさんは帰路についていらっしゃる。毎日の議論で体力も使ったが、SkyrmionとHolographic QCD との間の関係がずいぶん自分なりに理解できたのは、大きな収穫だった。今までの模型の限界点と利点・弱点を知っておくのは重要だが、自分が専門家になるのは大変なので、Mantonさんに毎日議論をしてもらえることがありがたかった。いくつか方向性も見えたので、腰を据えて考えてみなければなるまい。

明後日にCambridgeに行くので、またあちらでMantonさんに会うというのも奇妙な偶然だ。Cambridgeは、以前に半年滞在して以来だから、もう3年以上経っている。ホテルの場所を地図で調べたりしていると、通りの名前を見るだけで、その情景がくっきりとまぶたの裏に浮かび上がってくる。また、あの寒いCambridgeを訪ねる、そう思うだけで、分厚いジャンバーを着たくなってしまうくらいだ。僕のセミナーに知っている人がどのくらいいらっしゃるかは分からないが、4年前を思い出して、むずむずしている。

このところ、研究がなかなか進んでいない気がする。研究議論以外にいろいろなことがあって、それに時間を使っている気がする。しかし、Mantonさんとこれだけ議論したことを思い出すと、気のせいかもしれない。腰を落ち着けて計算していないので、やはりノートにたくさん書いていないと研究できていない気がするんだろう。実際、かなりとことんMantonさんと議論したし、Mantonさんと一緒に他の人も加えて行った様々な議論は、数が数えられないくらいになってしまった。いずれにしても、ボツボツ腰を落ち着けて計算する時やわ。