基研、高次元BH研究会。

台湾にはクリスマスは無いということは知っていたが(数年前に、クリスマスに講演したことがあるのだ)、日本にもどうやらクリスマスは無いらしい。このたびは重力の方に呼んでいただいて、基研のBH研究会でクリスマス25日に講演させていただく。講演のプロットをずいぶんと変えてみたのだが、聴く人は少し混乱したかもしれない。面白いと思ってくださった方もいらっしゃったが、ちょっと実験的に、動機を最後に持ってくるような構成にしてみた。それは、素粒子の人が聞いているわけではないので、素粒子の動機ばっかり最初に強調しても意味がないと思ったからで。しかし後の懇親会で言われたのは、それはそれでよかったのだけれど、さらに重力相対論の人をひきつけるようにフルの運動方程式を提示するべきだった、と。なるほどとしか言いようが無い。数学の人の前で話をするときには確かにトークの最初に式を出して「これを解きたいんです」と言ってうまく行った記憶がある。すなわち、相対論の人々は、おそらく数学の人たちの動機に近いところに美意識があるのかもしれない。つまり、非線形方程式の美というやつ。今度重力の人の前でトークをするときは、気をつけることにしよう。

このところ出張がかなり多く、元気だが徐々に体を壊しつつあるのは明らかなので、年末年始は休養せねばならない。寝不足は体調不良のもと、と思いつつも、ついついいろいろと手を出して仕事をしてしまう。計算も進んだり止まったりで、明日の28日仕事納めは出来るところまでやってしまいたい。

宿の近くの荒神橋から見た鴨川は、寒々しく、懐かしかった。丸太町って、こんなところやったっけ。毎日自転車でこことおっていたはずなんやけど、どうも記憶が不確かなのか、それとも新しい建物が結構建ってしまっていてわからないだけなのか、それが分からない。風景が頭に浮かぶようなところどころの記憶の端くれが、なんとも頭をむずむずさせるのだけは確かなのだが。