核子行列模型の論文を上梓。

最終的に論文を出すまで一ヶ月遅れてしまったが、出せた!核力の行列模型による記述、この論文は飯塚君とPiljin Yiとの共同研究。やったー。

弦理論から原子核へ。行列のサイズが核子数となり、行列の固有値核子の場所となるような行列模型。ホログラフィックQCDで導出される。なんとも簡単なその構造に、自分でも見ほれてしまうわ。(言い過ぎ。)この行列模型から、もっといろんなことが出てくるはずだが、まずはこの論文では、行列模型の作用の導出と、バリオンのスペクトルの計算、そして近接核力の計算を書いた。2フレーバーの今回の計算では、なんと、すべてのバリオンについて斥力芯が存在することを示すことができた。

今は飯塚君と、その行列模型を使った近接三体力の論文を書いている。計算はほぼ終了して、ドラフトもほぼ出来上がっている。うむ。これからいろんなプロジェクトが考えられる。超新星中性子星状態方程式など夢は膨らむばかり。

先週は、東大本郷の青木研究室に呼んでいただいて、初田研との合同セミナーで話させていただいた。内容はこの行列模型について。色々と議論していただき、また今後の方向の可能性も見える。物性の方とこんなに議論ができるような日がやってくるとは、予想もしなかっただけに、大変うれしい。初めて原子核の研究室でセミナーをさせていただいた時もこんな感想を持ったのをよく覚えている。もちろん言葉も違うし動機も違うのだが、数理と物理という広い共通のテーマでこんなに深くつながるというのが不思議で。もちろん、こうして楽しく議論できるのも、青木さんや岡さんに負う所がとても多く、せっかくこうして出会えたことを感謝して、続けていきたい。

今日で、京大で博士号を取ってからちょうど10年になる。10年、あれとこれをやった、あれができていない、いろんな感想が。これから10年、何をするか。折りしも、明日は辞令式。心も新たに、楽しく面白い物理を存分にやっていきたい。