プレゼン道講習。

人に教えるほど自分は上手くないのはよく分かっているが、それでも、一応講師として、プレゼン道講習会を開催した。まず、不思議なことに、この業界(少なくとも素粒子原子核)の大学院では、プレゼンをどのようにすべきかという指導が行われていない。これは大変不思議である。研究者はもちろん研究することを本分とするけれども、1年なり2年なりの長い時間をかけた研究を人にセミナーで話すそのセミナーの一時間という超重要な時間の使い方を学ぶ機会が無いのである。これでは、せっかくの自分の研究と業界のほかの研究者との接点の一つをみすみす無駄にしているようなものである。なので、まず第一に、プレゼンを学ぶことは研究者にとって当然である。
研究者は論文を書くことをもって他の研究者とメインにはつながっているという意見は正しい。しかし、アーカイブから毎日数十本の論文が現われる昨今、全ての面白い論文に目を通すことは出来ないのだから、研究室でセミナーが開かれているのである。セミナーに呼ばれたときに、ほとんどの場合、聴衆は講演者の発表内容を知らないし、論文を前もって読んではいない。だから、セミナーは必須なのだ。当たり前だけどね。
しかしプレゼンと言っても、千差万別。どんなプレゼンがいいかというのは人によって全く違う。だから、「こうしましょう」的なプレゼン道講習というのはありえないのでは。という意見も多いだろう。僕もそう思う。しかし、二年前にプレゼン道教師のための講習を受けた時、目からうろこが落ちるとはこのことやわと身にしみて感じた。プレゼン道とは技術であって、技術は自分の身になじませて自分化すべきものである。通り一辺倒の講習ではないのだ。
たかがセミナー技術、されどセミナー技術。というわけで、自分としてはかなり気合を入れて講習を行ったわけ。
ところで、最近ようやく、所属長業務とは何かということがだんだんと分かってきているのだが、業務に研究者としての自分が押しつぶされないよう、色々と自分の生活のルールを決めて律することにしている。このところわりと守れるようになって、それで自分のアクティビティーも4月よりは上がってきているような感触がある。ルールはいくつかあるが、長い間守れているのは、6時までに起床、7時半出勤、副都心線で雑用処理、帰りの副都心線でも雑用処理、この4つだろう。最近守れてきているのは、午前中は研究以外はしない、というルールで、例えばメーラーは立ち上げない、研究室に着いたらまず計算ノートを広げる、「まずコーヒー」はやめる、といったことの総合ルール。これを守っているおかげで、ずいぶんと研究が進んでいる感じがする。ちょっと油断するとすぐ、雑用をカタカタと始めてしまって、気がついたら貴重な午前中が終了している、ということがよくあった。反省してみると、やってきたメールをすぐに眺めてしまった、届いた書類を開けてしまった、といったかなりトリビアルなことでそういうひどい状態になってしまっていたことに気付いた。で、このルール。こうやって書いておいたら、また自分で読み返してさらによく守るだろうと思って書いておく。
今日はなかなかよい計算結果が出た。ような気がする。トイレに貼ってある核図表を指差して、これを今やっとるんや、という実感。