サイエンスアゴラ。

3万個のピースを使ったレゴの大作。サイエンスアゴラ2010の理研ブースを通りがかる人たちは、まずその黄色いレゴの塊に目を奪われる。「何あれ?」「レゴ?!」「うそー!すごー!」

レゴ作成部隊募集の案内が仁科センター内のメーリングリストに流れたのは、サイエンスアゴラ開催日の2週間前だった。うちの研究室の人たちが続々とレゴ隊に加入しているのを見て、うらやましく思いつつも色々な仕事でレゴ部屋まで訪ねる時間が出来ず。そしてその週の金曜日、「本日レゴ作成千秋楽」のメール案内に更に心が動かされ、とうとうレゴ部屋を訪ねた。そこには、散乱した大量のレゴと、完成まであと半分程度のレゴのとても大きな塊、そして黙々とレゴを組む人たちが。

うぉー、こんなレゴの超大作、一回関わってみたかったんや!と意気込みは上々。レゴ隊の方の親切な指導の下、参加作成スタート。・・・って、ところが、これがめちゃ大変。設計図どおりに組んでいくのが至難の業。組み間違うと科学的に問題が発生するし、しかも色は完全指定。youtubeなどでいろんなレゴの超大作の作成過程を眺めて楽しんではいたが、実際に携わると、これは苦行に近い。はじめはおしゃべりなどしながら楽しく作業していたが、そのうち無口になり、レゴをどんな風に組めばいいかのストラテジーを探索、いかに短時間で組むかを考えながらの作業となった。で、二時間費やして完成したのが、たったの2層。これ、全部で30層以上あって、それで1パネル。そのパネルが10以上ある。こんなん全部完成するわけないやん・・・僕は後ろめたさを感じながら、その場を去った。


理研ブースの説明員として参加するサイエンスアゴラ当日。会場のお台場・日本科学未来館に到着すると、なんと、そこには堂々完成したレゴ核図表の姿が!!ええ、これほんまに完成したんですか!

その圧倒的な威容は、もちろんサイエンスアゴラ参加者の目を奪った。小さい子は「これ何個で出来てるの?」。理科教育関係の方は「予算いくらですか?」。官庁関係の方は「社会とのすばらしい接点ですね」。おじいさんは「派手な色ですねぇ」。どんな感想をはじめに持つかはともかく、大事なことは、レゴの超大作が、元素とは何か、という科学に興味を持ってもらう入り口となったということだった。宇宙の元素合成、理研で作られた113番元素、太陽の核融合エネルギー、そういった話に、科学者でない人たちが耳を傾ける。そこから話は仁科や湯川、そして日本の科学、事業仕分け、そこまで及ぶ。

「うん、僕、大きくなったら科学者になりたいんだ」と、ちいさなちいさな小学生が、満面の笑顔で答えてくれた。展示されていた超伝導リングサイクロトロンの大きなボルトを持ち上げて。その大きなほほえみに、ほんま感動した。「うん、きっとなれるよ。」その小学生の笑顔が目に焼きついて離れない。